田中遥 インタビュー

田中遥 インタビュー

理屈ではなく感覚的に選ぶ、自身にとっての良いモノ


ーものを選ぶ基準を教えてください

今存在しているアイテムは最低限の機能性は担保されていると思っていて、便利さを追求するとキリがないんじゃないかなという感覚。そういう意味では割と見た目重視でもいいのかなって思います。


ーものを選ぶ基準は昔と変わってきましたか?

若い頃は、その時に足りないものを間に合わせで買ってしまうところが多かったので、結局すぐ使わなくなったり飽きてしまうことがよくありましたね。今は背伸びしてでもいいものを買った方が結果いい買い物になると思うんです。余計なものを買わなくなりました。



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ーものの情報源はどこからですか?

いいものに対するアンテナが過敏なくらいな人たちが周りにたくさんいるので、日常会話をしているだけどそういう情報を得られます。SNSはあまり信用していないかも知れません。実際に、信頼している人がいいっていうものってハズレないんです。リアルのコミュニティを大事にしています。


ー最近、何か買い物をされましたか?

一昨年に買い逃したBEAMS別注のアラジングラファイトヒーターを中古で見つけて購入しました。藍色でUSMハラーとの調和もいいです。






ーものの対価は、買い物する時にどのような影響がありますか?

より安く買おうと探せば、その可能性ってあるじゃないですか。
いろんなブランドさんのお手伝いをしていて感じることは、本当に苦労しながらモノって作られてるんですよね。そのものが出来上がるまでの作る人や生産の背景を考えると、変に安さを求めることなく定価で買うことってすごく大事なことだと感じるんです。なので、自分が納得すれば、それが適正価格なんだと思います。
あと、プロダクトをもちろん買ってはいるのですが、そのブランドの世界観を買っているようなところもあって。コミュニティの一員になりたいというか、このブランドを少しでもサポートしたいという気持ちもあるかもしれないですね。


ー断捨離されますか?

たまにします。
ついつい椅子が増えてしまうのですが、僕の中でこの部屋の空間に対する椅子の絶対数というのが決まっていて、そこを超えるとどううまく並べてもレイアウトが崩れるんです。そういう時は、違う部屋に持っていくのですが、それももう入らないとなったら手放します。








ーコレクションしているものはありますか?

コレクションをしているという感覚ではないのですが、家具全般は好きですね。僕の頭の中の大部分は家具が占めていて、仕事をしている時以外は常に家具を探しています。


ー最近購入されたお気に入りの家具は?

ダル・ヴェラのレザルクハイスツール。数年前くらいはシャルロット・ペリアンがデザインしたって言われていたんです。でも、実際はペリアンがデザインしたわけではなく、レザルクスキーリゾートをディレクションする上でセレクトしたというのが正確な情報。当初はペリアンが盛り上がりはじめていて、そういう意味で飛びついた人も多かったので、ペリアンじゃないのかってがっかりした人もいたのですが。僕はアノニマスなプロダクトもすごく好きなので、結局デザイナーは誰なの?というところでより愛着が湧いて。前に買ったレザルクのダイニングチェアに、このバーチェアもセットで置きたいなと思っていて購入しました。








ーここ数年でヒットした買い物を教えてください

家具好きになるきっかけになった椅子でもある、ピエール・ガーリッシュのアルミのチューリップチェア。
前職のBEAMSにいた時に、給料1ヶ月分をつぎ込む勢いで買いました。名品家具って高価なのでなかなか接点が持ちづらかったのですが、実際に買って所有してみるとその良さが本当に分かるんです。所有したからこそ、調べるようになって、家具について詳しくなるきっかけになった椅子です。






ー田中さんを構成する3つのアイテムを教えてください

カメラ、家具、洋服。


ーどういう時に、ものによる豊かさを感じますか?

ずっと使えて、自分の人生に寄り添ってくれた時というのが模範解答な気もするのですが、買い物って狩猟本能に近いというか、自分が狙った獲物を絶対にゲットしてやるという執着心だと思っていて。探しているもの、欲しかったものを手に入れた瞬間ですかね。一番テンションが上がる時はゲットしてもうすぐ届くなっていう時。で、実際届いて置いてみると、うんまあこんなもんかなみたいな(笑)。
その時の期待値が異常に高いというだけで、もちろん飽きているわけではなく、ずっと満足し続けられるんですけどね。






ー田中さんにとっていいものとは何ですか?

このアイテムに対してこれが一番いいなと思って買ったとしても、いつか他のものが現れて更新されるじゃないですか。だから、その現時点で自分が100%満足できるものがいいものだと思います。でもその100%満足できるかどうかで重要なポイントは、いいところがたくさんあるというのもそうなんですけど、嫌なところが一つもないということの方が大事だと思っていて。ずっと使い続けていくと、いいとこころは当たり前になって、嫌なところはすごく気になるんですよ。嫌なところがない方が長く使い続けられるんだと思います。


ーどうしてセレクターのオファーを受けていただけたのでしょうか?

元々HATCHは見させていただいていたのですが、いろんなジャンルの方が独自のものを紹介されていて、その切り口が面白いサービスだなと思っていました。僕自身誰かにおすすめなものをレコメンドすることがあまりなかったので、こういう機会もいいなと思い参加させていただきました。








ー人によるキュレーションというコンセプトについて、どう思われますか?

どの業態もオウンドメディアをすごく強化しているじゃないですか。オウンドメディアの圧倒的な欠点って、最終的に自画自賛になることだと思うんです。人々が求めている情報って客観性だと思うので、その点、HATCHは客観性に長けてますよね。本当に嘘がないメディアだなと感じます。


ーHATCHでのアイテムセレクトのコンセプトを教えてください

今回セレクトしたものは脇役。メインどころは自分で選ぶべきだと思うんですよ。それぞれ人の好みって絶対にあるので、特に大きいものや高価なものっは人からのおすすめで揺るがない気がして。そうなった時に、箸休め的なものを探すのって僕自身も苦労することがあるので、名バイプレイヤーなアイテムをセレクトしました。






ーHATCHのお客様へ一言

僕がセレクトしているものに限らず、どれもセレクターの方が本当にいいなと思っているものなので、躊躇することなくとりあえず買ってみて試してみるのも良いものです。


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