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  • 尾花大輔【インタビュー記事】

<ターニングポイント>

やっぱり2002年の初めてのファッションショーかな。もともと、古着のセレクションとリメイク、それとオリジナルを作っていて、そんな今まであってない様なコンセプトでお店を開くことができて、その時に突然クラブイベントの中でファッションショーやらないかって誘われたんです。古着屋上がりだから、ファッションショーはこういうものだみたいな感覚とか全然なかったし、それで、あれよあれよと自分の知り合いで色々なことをやっている人がいて、その知り合いが知り合いを呼んでくれて。ヘアメイクだとか、スタイリストだとか。右も左もわからない中でやってみて。僕はバックステージじゃなくて、普通に観客席の方から自分のショーを見たんですよ。自分の作った服が舞台に上がって、モデルが着ていて、それを見るってね、物凄い感覚。初めてだったのに400人ぐらい見にきてくれたのかな。舞台の上に出て戻ってというインスタレーションみたいなショーだったから、みんなが一斉に見ているわけですよ。緊張はするし、恥ずかしいやら感動やらで、今まで生きてきた中では味わったことのない様な感覚だったかな。
あのショーがあったからこそ、じゃあ次はちゃんと物を作ろうとか、次のファッションショーは出来るのかなとか考えて。本格的にショーをやりだしたのはその1年後ぐらい。
あれがあったから今がある。どちらかと言うと、自分からファッションショーをやりたいってはじめたブランドとは全然違うから、一個ずつ塗り潰す様にやってきた感じがする。あれが正しく本当に自分のターニングポイントだったね。

<一番印象に残っていること>

どのシーズンにも思い入れはいっぱいあるんだけどね。
やっぱりNYに行く前の最後のシーズンのショーかな。ショーの舞台を全部自衛隊が作って、モデルは全員米兵で。ガーデンホールのバックステージに、10mくらいの長机があって、その机の一方に自衛隊が全員座って、反対側には米兵が全員座っていたのね。なんか自分の好きなミリタリーが、ものではなくて人でこんなに集まっちゃうと、もう言うことないなって、なんか凄いことになちゃったなって。でもそれぐらい、いろんなファッションショーをやっていく中で、他とは違う角度で人に見せることができて、何か裏側のプロセスみたいなものしっかり組めるようになったからNYに行けるようになったんだっていうのもあるんだけどね。あの時は精悍だったね。とにかく凄かった。




 

<ものを選ぶ基準>

日常的に使うものは、使い勝手から入るかな。ものによっては格好よくないものも使うし、使いやすいっていうのが選ぶ時の一番のポイント。趣味嗜好のものになると、形とかから入って、使いづらいものも多かったりする。ものへのこだわりって、普段使うものと、趣味嗜好でコレクションするものでは相反していて、選ぶ基準は全然違うポイントになってくるかもしれないね。
そのものを選ぶ感覚は、昔とはだいぶ変わってきてるかもしれない。昔の方が情報が少ないからこそ、スタートからゴールまですごく時間がかかったけど。今では、いきなりゴールに着地できるっていうか。そういった意味でも買うプロセス、集めるプロセスがだいぶ変わってきたかな。

<ものの買い方>

特に海外に行った時なんかは、瞬間の衝動的なところを大事にしているから、そういうとこでは店舗で買うことが多い。一般的には、店舗で見てまわって、家に帰ってネットで買うという消費行動が増えていると思うんだけど、買い物って衝動がすごく重要だと思っているから、そこまで高いものではない場合は、パッとその場で買うことが多いね。もちろん、家のサイズに合う合わないとかのスペックありきの白物家電なんかはネットで買うこともあるよ。買い物のあり方自体も両極端に変わってきている気がする。

 

<コレクションしているもの>

ずっと買い続けていてコレクションしているものは、ウェアラブルアートジュエリーかな。ジュエリーとかは僕が一番つけないものなんだけど、置いて飾っても美しいオブジェになって、なおかつ着けることもできるみたいなもの。そのジャンルのものに関してはいいもの見つけるとどうしても買ってしまう。現代作家のものから、古いものだと1920年代のものもある。あとは、古着屋時代から考えると、ダウンジャケットとチャンピオンのリバースウィーブかな。それの古いやつは、見つけたら買ってしまうかな。

<感動したもの>

コレクションしている中であげると、一つは、サンフランシスコのアラメダって言うフリーマケットで出会ったブルックスレンジのダウンジャケット。未使用でピッカピカの黄色のやつ。出会ったその瞬間は忘れられないね。
古着っていいものを安く買って、自分が付加価値を上げていった時代もあったし、高いお金を出したことってほとんどないんだけど。都内のとある店で出会った、チャンピオンのリバースウィーブには、過去最大の値段を出したこともある。そういう異常なもの、異様なものって忘れられないかな。他にも、細かいものでも一個ずつ辿ると、やっぱりストーリーがあるし。
あとは、その反対で、ピッキーな自分としては、スリフトストアとか、いわゆるアウトクローズストアとかで、フィフティーズの古いカバーオールがラックごと綺麗にデッドストックで並んでいるとか。そのもの単体というより、そういう状況に対して感動したとか、驚くっていうことはあったかな。

 

<ネットで洋服を買うということ>

ネットで洋服を買うのが当たり前になりつつあるけど、例えば何でもないポケットTシャツでも、どうしてもXLくらいの大きめで、首がこうなっていてとか、その服がどんなものかわかっているもので明日着たいなって時に、すぐ届くと単純に助かる。サービスとしての使い方と時間の使い方みたいなもので考えたら、何も悪いことはないかなって思う。
僕らはコレクションブランドをやっていて、なおかつ同じ形のものって意外と作ったりしないので、毎シーズン何か新しいものを提案しているって考えると、インターネット上ではもしかしたら買いづらいブランドなのかもしれない。だから、実店舗に足を運んでもらえるような魅力を作りながら、実店舗で買ってもらったりとか。実店舗で見てもらって、持ち帰るのが大変なら送る、半eコマースのような。流通とSNSと買うっていう行為に関して、いろんな側面で向き合っていった方が面白いんじゃないかなって思ってるね。

<温泉好き>

神奈川出身ということもあって、小さいころからよく連れて行ってもらった箱根なんかは身近なところだった。大人になって、疲れを癒しに温泉にいって、いい旅館なんかにも泊まるようになって。ある旅館に泊まった時に一つの本に出会った。本物の温泉は66箇所しかない、と。循環の仕方にもよるけど、お湯がたまってそのままだと汚くなるから、中で一回濾過して戻される。ひどいとこだと、頭を洗い流した排湯が濾過して流れてくる可能性もある。それって気持ち悪いよね。だから源泉掛け流しがいい。でも源泉掛け流しというのがどういったものかを国で定義している訳でもないから、実際に行って見ないとわからない。ちゃんと源泉掛け流しでも、お湯の出ている量とか、バランスがしっかり組まれていないと、レジオネラ菌が発生しまったり。いろんなことがその本一冊だけで知ることができて、これは自分でちゃんといいお湯を狙って回った方が面白いんじゃないかなって、そこからはまっていったね。
体をゆっくり休めて、あったまり、美味しいものをいただく。こんな宿泊のスタイルって他の国にはないから、そういったところにも惹かれる。

 

<HATCHというサービス>

今は個の時代。もちろん雑誌などで、ライターや編集の人が総括してこれがいいっていう力強いものの押し方もすごく重要。でも、あまりにも細分化されていろんなものが垣間見れる時代だからこそ、人はより生っぽいものを探しているんだと思う。この方向性のものっていうより、個の趣味思考みたいなものが知りたい。それをその場で見ることができて、購入することができるというのは、とても今の時代にマッチしている気がするね。
決してこのHATCHというサイトのために何かを用意することなるんだったら嘘くさくなると思う。僕は今回参加させてもらったけど、継続的に何かを出したりというよりも、無いときは無い、これは気にいったから出そうかなって。非常に不定期で何か良いと思ったものとか、オススメしたいなって思ったくらいの時に出す。それくらいのことをしないと、僕を見てくれてる人は多分納得しないんじゃないかな。みなさんが納得してくれるようなものをピックアップするように心がけたい。HATCHは、個のものが買える新しいサービスなんじゃないかなって思ってる。

<HATCHでのセレクト>

今回ちゃんとコラボレーションをしたかったから、HATCHの方と僕のどういうところが気になるのか?って話をしたんだけど。温泉へ行くときに何を使っているのか興味があるって言われて、リアルに僕に対して気になるポイントを投げかけてくれた。僕もただ集めているものとか、ただ好きなものみたいになると、すごくばっくりしてしまって、見ている側もつまんないだろうなと思った。方向性をしっかり出すことができたので、人に響くかなって思う。僕が好きで見てくれる人。温泉が好きで見る人。そういうとこでキーワードに引っかかったりして、双方でいろんな形が見えてきたら面白いんじゃないかなって思う。
紙媒体とは違ってネット上だと、ふんだんに自分の言いたいことを伝えられるし、そこに共有できる人たちもいっぱい増えてきたりとかして。いわゆるSNSなんかよりも、より凝縮されたというか、より包括的に僕が感じてることかが伝われば嬉しいなって思う。



 

N.HOOLYWOOD

“ものを創る”とき、私たちは、過去にあったこと、もしくは、今ある古いものにフォーカ スを当て、新しい価値観を導きだすことを念頭に置いて創作しています。

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